狼は瞑らない
著 者:樋口明雄
発行元:ハルキ文庫
発行日:2003年11月18日
内容(BOOKデータベースより引用): 佐伯鷹志は、かつて警視庁警備部警備課に在籍し、SPとして、政治家の警護をしていたエリート警察官だった。いまは一線を退き、北アルプスと立山連峰に挟まれた広大な山岳地帯で遭難者を救助する、山岳警備隊の隊員である。その佐伯を狙う謎の暗殺者集団。彼らは、警察と政界の闇を知りすぎた佐伯を消すために送り込まれた“掃除屋”だった。
所感: ブロトモさんが大絶賛されていたので興味を持った作品。
こういうときブログは不思議だなぁって思う。
本書は、わたしの好みからは大きく外れている。
わたしだけじゃ絶対手にすることのなかった作品だ。
だけど、ブロトモさんと交流していくうちに
「○○さんが楽しんだなら読んでみたいっ!!」と
これまでノンマークだった作品や作家がいきなり
ベッド脇に現れたりする。
(自分で購入しているのだけれども)
ハードボイルドは苦手で、
警察等の内部抗争にも興味がないので
読み始めから正直辛かった。
主人公である佐伯がかつて所属していたSP。
山岳救助隊という組織。
山の知識もないのでいろいろなことがちんぷんかんぷんで
イメージもなかなか出来ずページが進まない。
しかし半分を超えたあたりから一気に加速した。
佐伯を抹殺するために現れた暗殺集団と佐伯の攻防。
佐伯を取り巻く山岳救助隊の仲間たち。
山男の友情。
雪山の恐ろしさ。
臨場感とスピード感がアップしてページを繰る手が止まらなくなった。
これは冒険小説だな。
男くさい。
でも、嫌いじゃない。
わたしは山には登らないし
登る気にもならないのだけれど、
それでも読んでいくうちに雪山の情景は浮かんできた。
描写が巧いのだろう。
それなりに楽しんだのだけれど、
欲を言えばラストをもう少し描いてほしかった。
一応の解決を見せて小説は終わるのだけれど、
色んなこと、色んなひとのその後が知りたくて仕方ない。
そういうところを求めるあたりが無粋なのかなぁ。