#010 蒼井上鷹 『二枚舌は極楽へ行く』|読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~

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#010 蒼井上鷹 『二枚舌は極楽へ行く』

二枚舌は極楽へ行く
著 者:蒼井上鷹
出版元:双葉文庫
初 版:2009年03月15日




所 感:
先に読んだ『九杯目には早すぎる』
なかなか(「とっても」ではない)面白かったので、
続編(?)となる本作にも手を伸ばしてみた。

『九杯目には早すぎる』のでも書いたのだが、
登場人物(特に主人公)がとにかく微妙。

かっこいいヒーローでもないし、
かわいいヒロインでもない。

可哀そうと思えるわけでもなければ、
「よかったね」と共感できるわけでもない。

「これは可笑しい」とくすりとすることはあっても、
腹を抱えて笑うほどではなく、
羨ましく思えることもなし。


とにかく全てが微妙なのだ。


なのに。
読みたくなってしまう。


面白いというわけでもなく
面白くないというわけでもないんだけれど、
なぜだか読みたくなってしまう。

「微妙」のさじ加減が絶妙なのだ。

絶妙な微妙さ。
そのさじ加減に今回もやられてしまった。
といってもダメージはあるまでじんわり。
強烈な衝撃など皆無、だ。

なのに、読んでしまう。
そして続編が刊行されればまた読むだろう。

『九杯目には早すぎる』の裏表紙には
(著者は)「小物のセコさを書かせるたら抜群にうまい」とあるのだが、
登場人物たちはまさしく小物。
しがない普通の人々(よりちょっと情けなさを加重)たちだ。

そんな小物たちによる情けなくも可哀そうで、
くすりと可笑しい短編集(ショート・ショート含む)。

裏表紙にある「極上の一冊」という言葉に騙されてはいけない。
過度な期待は一切禁物だ。
なんせ登場人物が、所詮「小物」なのだから。

質としては前作『九杯目には早すぎる』の方が上だと思うが、
本作では各短編にこれまた微妙なつながりが垣間見られて、
個人的には本作のほうが好き。

ひとにお薦めしたところで絶賛はされないとはわかっていても
この作品の微妙さを是非とも味わってほしいとも思う。



『二枚舌は極楽へ行く』収録作品
『野菜ジュースにソースを二適』
『値段は五千万円』
『青空に黒雲ひとつ』
『天職』
『世界で一つだけの』
『待つ男』←一番のお気に入り
『私のお気に入り』
『冷たい水が背筋に』
『ラスト・セッション』
『懐かしい思い出』
『ミニモスは見ていた』
『二枚舌は極楽へ行く』




2014年04月17日| コメント:0トラックバック:0Edit
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