#056 日本推理作家協会 編 『セブンミステリーズ』|読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~

読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~

読んだ本の感想をまとめています。
購入文庫派なので鮮度は重要視しません。
ジャンルはほぼミステリーです。
コメント・TBはお気軽にどうぞ。いやむしろ、喜びます。
ブログタイトル、過去のものに変更しました。

#056 日本推理作家協会 編 『セブンミステリーズ』

セブン ミステリーズ ミステリー傑作選
編 者:日本推理作家協会
発行元:講談社文庫
初 版:2009年04月15日



内容(表紙より引用):
「人間じゃないでしょ」と、老女に髪を切られた直後いきなり言い当てられた死神。彼女の「一生のお願い」は一日だけは若いお客を五人ほど連れてくることだった―「死神対老女」(伊坂幸太郎)。三崎亜記「バスジャック」、北森鴻「鬼無里」、米澤穂信「シャルロットだけはぼくのもの」、芳醇なミステリーの競演集。


所感:
急逝した北森鴻の蓮丈那智シリーズの一篇が読みたくて、
滅多に読まないアンソロジーに手を伸ばしてみた。

なぜか相性が悪いようで
、アンソロジー選びにはことごとく失敗してきたので、
アンソロジーに対してあまり良いイメージは持っていない。
が、これは違った。
既読のものが数編収められているのだが、面白い、と思った。

しかし冷静に考えてみると、
本書に良い感想を抱いたのはひとえに北森さんの影響だということに気付く。

収められている7篇のうち、
伊坂幸太郎の『死神対老女』は『死神の精度』で読んだし、
田中啓文の『挑発する赤』は『落下する緑』で、
米澤穂信の『シャルロットだけはぼくのもの』は『夏期限定トロピカルパフェ事件』で読了済み。

残る4篇のうち、北森さんの作品を除けば全てハジメマシテの作家さん。
三崎亜記『バスジャック』、
遠藤徹『壊れた少女を拾ったので』、
明川哲也『影屋の告白』。

『バスジャック』はその名をタイトルとした短編集を
書店で見かけて気にはなっていたが、
現実の事件を連想させて楽しめないかも…と躊躇していた。

しかし読んでみると、数年前に世間を騒がせた
「バスジャック事件」とは趣が異なり、
フィクションとして楽しめた。

アンソロジーは、新しい作家さんとの出会いをもたらしてくれるんだなぁ…
と、わたしが持つ良くないイメージはちょっとましになった。

興味をもったので三崎作品を何冊か
書店で立ち読みしてみたのだけれど、
いまいち惹かれず購入はしなかった。

でもまぁ、好みの作風じゃないということがわかっただけでも儲けもの。
本書を読まなかったら立ち読みさえしなかったはずだもの。

遠藤徹と明川哲也についてはその名前も初耳だった。
この二作品は推理小説というよりもホラー色が濃く、
「ミステリーズ」と銘打った本書に収めたことには疑問がある。

『壊れた少女を拾ったので』は
タイトルから大まかな内容は想像できるだろうが、
わたしの好みではなかった。

『影屋の告白』は至って普通の人間が持つ闇の部分が描かれていて、
ホラー色が強いといっても描かれているのは精神的な恐ろしさで、
単純に、面白い、と思った。

さて最後にお目当ての北森作品、『鬼無里』(きなさ)。
こちらは既刊の蓮丈那智シリーズには未収録。

『閉村のお報せ。平成十七年一月一日より鬼無村は長野市になります』
蓮丈那智研究室のPCに突然送られてきたメッセージ。
5年前、那智と三國は《鬼哭念仏》という祭祀を調査するために
東北の山深いH村に滞在していた。
《鬼哭念仏》とは、
「山の神である鬼哭様が年に一度郷に下りてきて、念仏を唱えながら家々を練り歩く(p.198)」というもの。
隣県である秋田のナマハゲが形を変えて伝わったもの、と考察される。
そして5年前の那智たちの調査中、ひとりの村人が惨殺された。
事件は未だ解決されず、迷宮入りしそうな気配を漂わせている。
突然のメッセージを受けた三國は那智の命で、
5年前ぶりにH村に足を踏み入れた…

今回は《鬼哭念仏》という架空の祭祀がテーマ。
それに加えてなんと銭形平次が神田明神下に居住した理由に、
平将門に纏わる謎と民俗学テーマが盛りだくさん。
鯨さんの自動筆記(六波羅一輝)シリーズとは違って読み応えがある。

ただ、5年前の回想と交互に入れ替わる現代との境目が曖昧で、
もうちょっと分かりやすくなるよう工夫が欲しかったかな。
でも、久々の那智との再会は大満足。
そしてもっと読みたかった…という思いが募る。

ミステリアンソロジー、少しずつ読み進めていきます!



『セブン ミステリーズ』収録作品
・伊坂幸太郎 『死神と老女』
・田中 啓文 『挑発する赤』
・三崎 亜記 『バスジャック』
・米澤 穂信 『シャルロットだけはぼくのもの』
・北 森 鴻 『鬼無里』
・遠 藤 徹 『壊れた少女を拾ったので』
・明川 哲也 『影屋の告白』。



2014年04月30日| コメント:0トラックバック:0Edit
<スポンサードリンク>



コメントする

名前
 
  絵文字
 
 

インフォメーション2

  • テスト1
  • テスト2
  • テスト3

インフォメーション3

  1. テスト1
  2. テスト2
  3. テスト3
Copyright © 読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~ All Rights Reserved.
当サイトのテキストや画像等すべての転載転用・商用販売を固く禁じます