#054 北森鴻 『狐闇』|読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~

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#054 北森鴻 『狐闇』

狐闇
著者:北森鴻
発行元:講談社文庫
初 版:2005年05月15日





内容(裏表紙から引用):
魔鏡を競り市で手に入れたことで、宇佐見陶子の運命は変わった。市に参加していた男が電車に飛び込んだのを皮切りに周囲で命を落とす者が続出。陶子は絵画の贋作作りの汚名を着せられ、骨董業者の鑑札を剥奪されてしまう。狡猾な罠を仕掛けたのは誰か。満身創痍の捜査行は日本の歴史の断層に迫っていく。


所 感:
先日『孔雀狂想曲』を読んで「北森作品でこれが一番好きかも!」
と思ったばかりで節操がないのだけれど、
なんと!その上を行く好みの作品に出会ってしまった!!

魔境に妖しげで古そうな骨董品に美術品。
贋作に「ひみこ」という名の女性。
民俗学者に、古墳、挙句の果てに歴史上の人物まで登場し、
いやはやなんとも豪華。

妖しくって先が読めそうで読めなくて、
それでいてなんともキレイにまとまっていて…もう、めちゃくちゃ好み。

あくまでもフィクションなので実際にどうなっているかはわからないけれど、
そしてこれは『孔雀狂想曲』の時にも思ったことでもあるのだけれど、
骨董美術の世界とは魑魅魍魎蠢く狐と狸の化かし合いの世界のようだ。

まぁ、値段があってないようなものを扱っているのだから当然と言えば当然。
善良無垢よりは厚顔無恥な人の方が生きていきやすい世界ではあるだろう。

そんな化かし合いに偶然か必然か、巻き込まれた骨董業者がひとり。
冬狐堂という屋号を持つ陶子は競り市である青銅鏡を競り落とす。

その鏡はまるで魔境のように、陶子の心を掴んで離さない。
しかしその境は盗品であることが分かり、
陶子はそれを持ち主に返すことになる。

お別れすることになると思えば余計によく見える。
陶子は何度も何度もその鏡を見つめ、
その鏡に八咫烏が描かれていることがわかる。
「この鏡は本物の魔境?」もしかして「三種の神器のひとつ??」

鏡を本来の持ち主に返したものの、
陶子を――いや、鏡に関わった者を――不幸が襲う。

競り市に参加していた男が自殺。
その競りを主催した男も死亡。
そして陶子は贋作と飲酒運転の汚名を着せられ、
免許証と骨董業者の観察を取り上げられてしまう。

しかし陶子は怯まない。
敵は狸かそれとも狐か。
敵の姿も分からぬまま陶子は戦いを決意する。

そんな陶子に友人のカメラマンやその友の民族学者、
骨董品仲間の雅蘭堂が手を貸し、
遂に辿り着いた真相は…日本の歴史に秘められた謎であった?!


と、こんな感じで妖しさ満点のミステリ。
まず主人公の屋号が冬狐堂というところがいい。
と、詳しいことをいうとどれがネタばれにつながるかわからないので
、もうあまり書かないでおこう。

本作は陶子を主人公とする冬狐堂シリーズの第二弾。
第一弾は『狐罠』(未読)。

まぁ早い話が何弾かよく調べずに買っちゃったのだ。
理由はもちろん…魔境に惹かれたから。

余談だが本作には雅蘭堂の越名の他、
香菜里屋
、民俗学リーズの主人公である若き美人学者・連丈那智など
北森作品のオールキャストが出演するという豪華な仕上がりとなっている。

民俗学リーズは未読なのだが、
本作に登場した那智がとても興味深いので、
そのシリーズもぜひ読んでみようと思う。

それよりもまずは陶子シリーズの次作かなぁ。
いや、先に第一弾だな!

初めて読んだ『メビウス・レター』で「もうこの人いいや」と思った北森作品だったのに、
こんなにも次から次へと惹かれるようになるとは思いもしなかった。
いやー読書って面白い。

そしていつも適切なアドバイスを下さるブロトモのみなさまに感謝。




2014年04月30日| コメント:0トラックバック:0Edit
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