#043 北森鴻 『メビウス・レター』|読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~

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#043 北森鴻 『メビウス・レター』

メビウス・レター
著 者:北森鴻
発行元:講談社文庫
初 版:2001年02月15日




内 容: (裏表紙からそのまま引用)

男子高校生が謎の焼身自殺を遂げた。数年後、作家・阿坂龍一郎宛てに事件の真相を追跡した手紙が、次々と送りつけられる。なぜ阿坂のもとに?そして差出人の正体は? 阿坂は人妻のストーカーに付け狙われ、担当編集者は何者かに殺害された。すべてがひっくり返る驚愕の結末とは?! 傑作長編ミステリー。


所 感:
意外性をふんだんに盛り込んだ(盛り込み過ぎた)作品というのが正直な第1感。
読者に対するトリックに力を入れられているのはよくわかるのだが、
それ故、超作為的感がびしばし伝わってきてしまった。

阿坂龍一郎は売れっ子作家。
自宅マンションを仕事場と兼用し秘書として芳江を雇う。
芳江は秘書として非常に優秀で、
阿坂は作家として申し分のない生活を送っていた。



その阿坂の元に突然、数年前に起こった男子高校生の
焼身自殺事件の真相を追跡した手紙が送りつけられる。
誰がいったい何のためにこんなことをしているのか、
阿坂には手紙の送り主の見当がつかない。



そんな折、阿坂の担当である男性編集者・野島が死体となって見つかる。
野島の会社のロッカーからは阿坂の写真が見つかり、
オカマバーに通っていた事実が明らかとなる。
野島は阿坂に恋心を抱いていたというのか。


野島の事件と前後して、
阿坂は同じマンションに住む人妻からストーカー行為を受けるようになる。
ファンだと名乗るその女性の行為は日に日に執拗さを増し、
阿坂を苦しませる。

平穏な暮らしが一変した阿坂の元には
差出人不明の手紙が次々と舞い込み、送信元不明のファックスが届く。
そのファックスに記載されていたのは、
山梨で発見された身元不明の遺体の記事だった。

その記事を目にした阿坂は事件解決のため、
山梨の遺体発見現場へと向かった。


物語の構成は、ふたつにわけられる。
ひとつは阿坂が暮らす「現在」。
もうひとつは、阿坂の元に送りつけられた差出人不明の手紙。

手紙の書き手は謎の焼身自殺を遂げた男子高校生の友人のひとりだと思われる。
その友人が、亡くなった男子高校生対して
「今はもうどこにもいないキミ」宛てに書き綴った手紙である。
その手紙で友人は、男子高校生の死に疑問を抱き、
真相を追究する様を克明につづっている。



なぜ過去からの手紙が阿坂の元に突然送りつけられたのか。
ここがこの物語の謎を解く最大のポイントとなるのだが、
詳述するとネタばれになるので、触れないでおく。

作家の元に届く謎の手紙。
編集者の死。
突如現れたストーカー…

いくつもの謎を登場させそれぞれにトリックを用い、
そのトリックを幾重にも交差させている。
なんとも忙しい物語である。



小説とは創作物であるのだから作為の宝庫であるのは当然のことなのだが、
この作品はあまりにも作為的すぎる。
枝葉があまりにも多く、そのため核となる部分が霞んでいるように感じる。
正直いってあまり好みではない作風である。



ただしラストは割と好みであった。






2014年04月27日| コメント:0トラックバック:0Edit
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