#041 米澤穂信 『春期限定いちごタルト事件』|読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~

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#041 米澤穂信 『春期限定いちごタルト事件』

春期限定いちごタルト事件
著者:米澤穂信
発行元:創元推理文庫
初 版:2004年12月24日



内容(裏表紙より引用):
小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。


所感:
表紙のイラストがネックが気になって敬遠していたのだけれど、
読み友ブロ友のみなさんが絶賛されているのに負けて(?)読んでみた。

そうしたら!

面白いのなんのってーーーー!!!!


物語の主役は小市民を目指す
高校一年生になったばかりの小鳩くんと小佐内さん。

このふたりの関係はいわゆるカップルのそれではなくて
互恵関係という。

三省堂の辞書によると「互恵」とは「互いに相手に利益や恩恵を与え合うこと。」とあった。
小鳩君は小佐内さんに利益をもたらすためだけに小佐内さんの側に存在し、
小佐内さんもまたしかりということだ。

それではここでいう「利益」とは何か。
それは単純明快。
小市民でありつづけること、ただそれだけである。

ふたりが手に手を取り合って目指すのは、
慎ましく清く正しい小市民なのだ。
なんてちっちゃいスケールなのだっ!!

と侮ってはいけない。
小市民を「目指す」ということは即ち、
彼らは小市民「ではない」ということだからだ。

できるだけ目立たず平平凡凡と、
10人いたら11番目の人を目指す小鳩くんと小佐内さん。
ふたりを小市民へと向かわせるのは、
15年という決して長くはない人生における「後悔」だ。

自らの性格から招いた過去の過ちに改心し、
人畜無害の人間になるべく努力を重ねるふたり。
しかし彼らの前には、
過去においてきたはずの「性癖」を刺激する日常が広がる。
過去との決別、後悔からの学びなどなど
人生における大きなテーマ或いは闘いが軽いタッチで描かれていて読みやすい。

ただ読みやすいだけでなくところどころに織り込まれる、
はっとさせられる言葉――このバランスがいいんだろうなぁ。

そして何よりも読者の心を奪って話さないのは、
小鳩くんと小佐内さんが人畜無害の小市民を目指すきっかけとなった「過去」だ。
彼らはなぜ小市民を目指すことを決意したのか。
その答えは本書では明かされない。

彼らのささやかな闘いと、
その心の奥に秘められた「過去」を知りたくてたまらない。
こうやって焦れるように読書をするのは久しぶりだ。
素敵なシリーズと出会わせてくださったブロ友さん・読み友さんに感謝。

ちなみに作品タイトルにある「いちごタルト」は、
小佐内さんが超・甘党でスウィーツに目がないことかと
ある事件に巻き込まれたことに由来するものである。



『春期限定いちごタルト事件』収録作品
・プロローグ
・羊の着ぐるみ
・For your eyes only
・おいしいココアの作り方
・はらふくるるわざ
・狐狼の心
・エピローグ

2014年04月26日| コメント:0トラックバック:0Edit
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