ないもの、あります
著者:クラフト・エヴィング商會
出版社:ちくま文庫
初 版:2009年02月10日
内容(裏表紙より引用): よく耳にするけれど、一度としてその現物を見たことがない。そういうものがこの世にはあります。たとえば「転ばぬ先の杖」。あるいは「堪忍袋の緒」。こういうものは、どこに行ったら手に入れられるのでしょうか?このような素朴な疑問とニーズにお応えするべく、わたくしどもクラフト・エヴィング商會は、この世のさまざまなる「ないもの」たちを、古今東西より取り寄せて、読者の皆様のお手元にお届けします。文庫化にあたり、新たに3品を加えました。
所 感:
いろいろなところで見かけて、ちょっと気になっていた本作。
あとがきをいれても125ページしかない文庫のくせに(失礼)
945円もするのでちょっとためらっていたんだけれど、
清水の舞台から飛び降りるつもりで購入してみた。
だって「この薄さでこの値段でも納得」って書かれている方もいらっしゃったから…。
うーん。悪くはない。
「堪忍袋の緒」とか「舌鼓」とか「左うちわ」とか「相槌」とか
「冥土の土産」に「大風呂敷」など、
手に入らないものばかり並ぶ
クラフト・エヴィング商會における取扱商品説明書という切り口も、
ウイットと風刺に富んだ店主の語り口も、
慇懃でありながらブラックという店主の言葉づかいも…。
例えば一番人気の商品という「左うちわ」。
「これ一枚で、遊んで暮らすことができます。もちろん働く必要などありません。」「朝寝、結構。朝酒、結構。朝湯、結構。毎日が竜宮城状態。」だけれども「本商品はいったん購入されましたら、常時パタパタとあおいでいただくことになっています。あおぐ手をひとたびでも止めてしまいますと、当然ながら<左うちわ>の状態を維持できなくなり、ただの遊び人、ごろつき、世捨て人とみなされてしまいます。もちろん寝る間もありません。冬の厳寒時においても、ひたすらあおいでいただきます。」
だそうだ。
こういう調子で全26商品が掲載されている。
初めは物珍しさから面白がっていたのだが、
読み進めるにつれてだんだん飽きてくる。
風刺の聞かせどころもユーモアの散りばめどころも
全く変わり映えしないからだ。
うーん。
新しい切り口で面白くはあるのだけれど、
もうちょっとなんかひねりが欲しかったなぁ…。