#113 大倉崇裕 『福家警部補の挨拶』|読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~

読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~

読んだ本の感想をまとめています。
購入文庫派なので鮮度は重要視しません。
ジャンルはほぼミステリーです。
コメント・TBはお気軽にどうぞ。いやむしろ、喜びます。
ブログタイトル、過去のものに変更しました。

#113 大倉崇裕 『福家警部補の挨拶』

福家警部補の挨拶
著 者:大倉崇裕
出版社:創元推理文庫
発行日:2008年12月12日



内容(Bookデータベースより引用):
本への愛を貫く私設図書館長、退職後大学講師に転じた科警研の名主任、長年のライバルを葬った女優、良い酒を造り続けるために水火を踏む酒造会社社長―冒頭で犯人側の視点から犯行の首尾を語り、その後捜査担当の福家警部補がいかにして事件の真相を手繰り寄せていくかを描く倒叙形式の本格ミステリ。刑事コロンボ、古畑任三郎の手法で畳みかける、四編収録のシリーズ第一集。


所感:
刑事コロンボのノベライズを担当した著者による倒叙ミステリ短編集。

2013年に檀れいさん主演で連ドラ化
賛否両論あったようだけれど、
はっきりいって原作のほうが何倍もいい。
あのドラマで原作までけなされないといいのだけれど…。

本書に収められている4篇ではどれも、冒頭で犯人が殺人を犯す。
本の価値を理解できない二代目「バカぼん」を事故死に見せかけようとする私設図書館の館長。
弱みを握った後輩を強盗に見せかけて殺害した元科警研勤務の大学講師。
ある役を巡って争うライバルを事故に見せかけて中毒死させた女優。
ライバル酒造の社長を事故に見せかけて殺した老舗酒造の社長。

登場する犯人は誰も、明確な殺意をもってある人物を殺す。
そしてその殺害の痕跡を偽装し、
事故死あるいは強盗に見せかけ、逮捕を免れようとする。

そこへ颯爽――ではなくって、「ぴょこん」――と
現れるひとりの警部補が、
明確な頭脳をもって彼らの犯行を暴いていく。

その警部補の名前は福家。
年齢不詳の童顔。
小さな背丈。
警察手帳をどこにしまったのか忘れ、
毎度毎度事件現場に入るのに苦労する。
折りたたみ傘で現れたのはいいけれど、
たたむのに四苦八苦。
どうみても器用とは程遠い。

酒に強く、
オシャレにはおそらく疎く、
映画が好き。

捜査は基本一匹狼。
タフで事件となると徹夜も厭わない。
それだけ部下の扱いも荒い。

このキャラクター、
コロンボとそっくりだ(笑)。


福家は独自の調査と明晰な頭脳を持って
犯人を追いつめていく。
いや、犯人の目星については
事件現場に一歩足を踏み入れたときにわかっていたのだろう。

あとは証拠を固めるだけ。
そのために福家は歩き、尋ね、調査する。

淡々と進む福家の調査。
淡々としたキャラクター。

犯人側も、それなりに肩書のあるひとたちだが、
淡々としている。

サラリと読めて、わたしは好き。
ただ、「サラリ」が物足りなく感じるひともいるかも。
福家のキャラに生活感がないところも
賛否のわかれるところだろうか。
おそらく著者は意図的に生活臭を排除しているのだろう。
わたしは好きだな。

NHKでドラマ化されたみたいだけれど、 観ていない。
こちらは観たかったなぁ。

続編も刊行されていて
すでに文庫化もされている。
淡々としているのに
かなりハマってしまった。

さて。
最後にとっておきのひみつをひとつ。

福家警部補は女性なのであります。
そして名前(ファーストネイム)はまだない。
(きっとこれからも、ない)



『福家警部補の挨拶』
・最後の一冊
・オッカムの剃刀
・愛情のシナリオ
・月の雫



2014年05月22日| コメント:0トラックバック:0Edit
<スポンサードリンク>



コメントする

名前
 
  絵文字
 
 

インフォメーション2

  • テスト1
  • テスト2
  • テスト3

インフォメーション3

  1. テスト1
  2. テスト2
  3. テスト3
Copyright © 読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~ All Rights Reserved.
当サイトのテキストや画像等すべての転載転用・商用販売を固く禁じます