密室に向かって撃て!
著 者:東川篤哉
出版社:光文社文庫
発行日:2007年06月20日
内容(Bookデータベースより引用): 烏賊川市警の失態で持ち逃げされた拳銃が、次々と事件を引き起こす。ホームレス射殺事件、そして名門・十乗寺家の屋敷では、娘・さくらの花婿候補の一人が銃弾に倒れたのだ。花婿候補三人の調査を行っていた“名探偵”鵜飼は、弟子の流平とともに、密室殺人の謎に挑む。ふんだんのギャグに織り込まれた周到な伏線。「お笑い本格ミステリー」の最高峰。
所感:
まだまだバブルが続いているご様子の東川さん。
とはいえ、一時期に比べると落ち着いてきたかな。
ギャグテイストが散りばめられた作品というのは、
読み続けるとげんなりしがちなので、
読むペースを守る、というのも読者には必要だろう。
そう、楽しく読書をするためにも。
烏賊川市警の失態で犯行現場から拳銃が持ち逃げされた!
そしてその拳銃が市内で次々と事件を起こす。
ホームレスの射殺に使われたり、
名士・十乗家のゲストが射殺されたり…。
元をただせば警察の失態なので、
失態を犯した刑事たちは現実逃避をしながらも
犯人を求めて右往左往。
そして自称「名探偵」鵜飼も、
十乗家のひとり娘、さくらと知り合った
弟子の流平とともに事件の解決にあたる。
東川作品には
キーとなる要素がギャグの中にぶちこまれる、
という特殊性がある。
これは他のユーモアミステリとは大きく異なる。
この点が嫌いなひともいれば、好きな人…もいるよね、きっと。
わたしは「許せる」といったところ。
ここまでくると笑うしかない。
諦めの境地とも言える、かもしれない。
そしてもうひとつの特徴は、
いわゆる「神の声」(地の文)での言い訳。
読者が指摘する前に言い訳するんだもの。
いまさら指摘できないよ。
この点も好き嫌いの別れるところか。
そしてここでもわたしは
笑うしかない(苦笑)。
嫌いではない。
だけれども、すごく好きというわけでもない。
文章はとてもじゃないがお上手とはいえない。
ギャグと言い訳と強烈キャラでしっちゃかめっちゃかにして
読者をけむに巻いている、そんな作風だ。
でも…。
気が付いたらまた手に取っているんだよなぁ。
まったく、困ったものだ。