毒入りチョコレート事件
著 者:アントニイ・バークリー(高橋泰邦 訳)
出版社:創元推理文庫
発行日:1971年年10月22日
内容(Bookデータベースより引用): ロジャー・シェリンガムが創設した「犯罪研究会」の面面は、迷宮入り寸前の難事件に挑むことになった。被害者は、毒がしこまれた、新製品という触れ込みのチョコレートを試食した夫妻。夫は一命を取り留めたが、夫人は死亡する。だが、チョコレートは夫妻ではなく他人へ送られたものだった。事件の真相や如何に?会員たちは独自に調査を重ね、各自の推理を披露していくー。
所感:
ずっと読みたい本としてリストアップしていた本書。
まさか復刊を遂げていたなんて!!!
しかも3年も前に(苦笑)。
創元推理文庫での初版は1971年のことだけれど、
本書が著者の本国イギリスでの発表は1929年のこと。
ちなみに日本での初の訳発表は1934年。
『毒殺六人賦』というタイトルだった。
ある男爵夫妻が毒を盛られた。
夫は一命を取りとめるも妻は死亡。
夫妻が食べた
新製品という触れ込みのチョコレートに
毒が仕込まれていたのだ。
事件の捜査は遅々として進まず、
焦るスコットランドヤード。
作家や弁護士たちによって構成された「犯罪研究会」が、
この迷宮入りしそうな事件の推理に挑むことになった。
会員たちは毎夜、一名、
自分なりの推理や結論を披露することに…。
ある事件が起こった。
犯罪を研究する会があった。
その会の会員たちは事件解決に向けて独自の調査をする。
そしてその推理を発表する。
その発表される推理というのが、
本書に描かれた内容である。
1929年に発表された作品に対して言うのは憚られるのだけれど、
このタイプのミステリを読むのは初めてだった。
安楽椅子探偵ものでバーやどこかで
推理合戦みたいなものをするのはよく読む。
根本では本書もその安楽椅子探偵ものも
同じようなものなのだけれど、
ひとりずつ推理を披露していく、というのが特徴的だ。
もちろん一夜目に発表する会員がもっとも不利。
後にいけばいくほど有利になる。
で。
もちろん、最後の最後には事件の真相は露呈する。
しかし、「はっきり」とは名言していない。
この思わせぶりなところがイギリス人という感じがする。
(あくまでもイメージ。偏見か?!)
訳書は苦手なので読むのに苦労したけれど、
思ったよりも堅苦しくはなかった。
といってもまたバークリーを読むかと問われれば、
その答えは…悩むところなのだけれど。