螢
著 者:麻耶雄嵩
出版社:幻冬舎文庫
発行日:2007年10月10日
内容(Bookデータベースより引用): オカルトスポット探険サークルの学生六人は京都山間部の黒いレンガ屋敷ファイアフライ館に肝試しに来た。ここは十年前、作曲家の加賀螢司が演奏家六人を殺した場所だ。そして半年前、一人の女子メンバーが未逮捕の殺人鬼ジョージに惨殺されている。そんな中での四日間の合宿。ふざけ合う仲間たち。嵐の山荘での第一の殺人は、すぐに起こった。
所感: 決して「お上手」というわけではないのだけれど、
ついつい読んでしまう麻耶作品。
最近は
『神様ゲーム』などで
以前よりもぐっと注目を浴びているようで、
大いに結構けっこうコケコッコー。
ただし。
麻耶作品は万人受けしない。
今回は麻耶流クローズドサークル。
舞台はファイアフライ(=螢)館という名の山荘。
10年前この屋敷では、
加賀螢司という作曲家による
演奏家六人惨殺事件が起こっている。
それを知った上で山荘を購入したのは
オカルトスポット探検サークルOBの佐世保佐内。
そして佐内の呼びかけにこたえる形で
ファイアフライ館にやってきたのは
オカルトスポット探検サークル所属の学生六人だ。
目的はズバリ、四日間の肝試し合宿。
そしてこのサークルにはもうひとつ「いわく」があった。
所属していた対馬つぐみという女子学生が
半年前に殺害されているのだ。
犯人はおそらく、
残忍な手口で世間を騒がせている「殺人鬼ジョージ」。
つぐみ惨殺の記憶が新しい中の今回の合宿。
しかも折からの雨で外部との通信は遮断。
そして間もなく、第一の殺人が起こって…。
と、いかにも、なクローズドサークル。
「こうよくも都合よく
雨が降ったり落石があったりするもんだなぁ」 なんて、
言ってはいけない。
クローズとサークルはその設定を含めて楽しむべきなのだ。
とはいえ、
どこをどれだけ著者が試行錯誤したかは言えない。
特にこの作品に関しては、言えない。
最初から仕込まれたカラクリ。
これを見抜ける人はあまりいないのではないだろうか。
それだけ緻密…というわけではなく、
大胆、なのだ。
この大胆さがわたしは好きだったりするのだけれど、
嫌な人も多いだろう。
とはいえ、犯人を当てるのはそれほど難しくはない。
トリックもなんとなく想像できる。
だけれども、それはすべて「火サス的推理」と
「麻耶さんだもの」によるもの。
「麻耶作品は癖があるからね。」
これを賛辞と受け取るか嫌味と受け取るかは読み手しだい。
わたしはなかなか好きです。
最期の最期にやってくれた「肩透かし」に関して、も。
麻耶さんの作品は「夏と冬の協鳴曲」 「翼ある闇」など読みましたが、自分には難解すぎて何度再読しても意味がわかりませんでした(;゚Д゚) そんな中、「あいにくの雨で」を
8年ぶりくらいに再読しましたら結構おもしろかったです。
この作品は未読ですが、古本屋で見つけて読んでみます。