歯と爪
著 者:ビル・S・バリンジャー
出版社:創元推理文庫
発行日:1977年07月15日
内容(BOOKデータベースより引用): 彼の名はリュウ。生前、彼は奇術師だった。フーディニやサーストンすら試みなかったような一大奇術をやってのけた。まず第一に、ある殺人犯人に対して復讐をなしとげた。第二に自分も殺人を犯した。そして第三に彼は、その謀略工作のなかで自分も殺されたのである――奇才バリンジャーが仕掛ける驚くべき前代未聞の大トリック。
所感: mokkoさんからいただいた本。
ハジメマシテの作家さん。
1955年に上梓されたアメリカの作品で、
「サスペンス小説」というジャンルでは有名な作家らしい。
本書は異なる二つの時系列で構成されていて、
ひとつはレディックという運転手に対する殺人についての公判(現在)。
そしてもうひとつは主人公である魔術師リュウの回想である。
この異なる時系列が交互に登場し、
読者をけむに巻きながら事件の「真相」へと誘ってゆく。
現代では、この手法はよく見かけるけれど、
1955年当時では珍しかったのではないだろうか、な。
個人的にはこういう構成はあまり好みではないのだけれど
(状況把握が難しいから疲れちゃう=あんまり賢くないってことです、はい…)
リュウの回想部分には興奮した。
なぜならば、
リュウは「成し遂げる」からである。 本書で描かれるのはリュウの復讐劇だ。
リュウはこの復讐を、成し遂げる。
それも、完璧なまでに。
しかも彼は、その復讐劇の中で自分も殺される。
ほんと、よくぞやり遂げた!!
この点においては大満足な一冊だ。
しかししかし…事件の真相が袋とじになっているのにはいささか疑問が
。第一に袋とじにするほど衝撃的な内容ではないし、
この袋とじ部分がそれ以前に比べて荒い、
というか失速している感が否めない。
でもそれも…1955年当時を考えれば、
すごい衝撃だったのだろうな、と想像する。
>mokkoさん!
自分では選ばない一冊でした。
ありがと~~~!!!!
今、入手するならこっち。