#200 絲山秋子『イッツ・オンリー・トーク』|読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~

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#200 絲山秋子『イッツ・オンリー・トーク』

イッツ・オンリー・トーク
著 者:絲山秋子
出版社:文春文庫
初 版:2006年05月10日




内容(裏表紙より引用):
引っ越しの朝、男に振られた。やってきた蒲田の街で名前を呼ばれた。EDの議員、鬱病のヤクザ、痴漢、いとこの居候―遠い点と点とが形づくる星座のような関係。ひと夏の出会いと別れを、キング・クリムゾンに乗せて「ムダ話さ」と歌いとばすデビュー作。高崎での乗馬仲間との再会を描く「第七障害」併録。


所感:
本書は絲山氏のデビュー作。(第96回文學界新人賞を受賞)

タイトル「イッツ・オンリー・トーク」は「ムダ話」という意味のようだ。

裏表紙にあるとおり、
本書には「ちょっと変わった」人たちが登場する。
いや、正しくは「ちょっと変わった」人しか登場しない。

一見、「ぶっとんでるなー」って思いたくなるのだけれど、
読んでみるとそうも「ぶっとんで」はいない。
ムダ話といわれれば「そうかもね」と思うし、
「真面目に言ってるんだ」と言われればそうとも思える。

あぁ、やっぱりわたしは未だ絲山作品の魅力をとらえきれていない。

これまで数冊の絲山作品を読んできて思うのは、
絲山さんは「私」目線で物語を書くのが好きなのだなぁ…ということ。
今まで読んだどれもがほぼ一人称で進行している。

読む側からしてみれば、
一人称っていうのは感情移入がしやすくて読みやすい。

一人称の物語が多いのは、
日記文化(小学校の宿題にもよくあるよね)の
染みついた日本独特の文化的傾向でもあるらしい。
こういう点も魅かれるポイントなのかな。

さて話は変わって。
本書で解説を書かれているのは上村祐子さんという書店員の方だ。
この上村さんの解説がめちゃくちゃいいっ!!! 
何がいいかって「絲山さんが好き!」っていう気持ちが
バンバン伝わってくるっ!

この上村さん、
『イッツ・オンリー・トーク』(単行本)の発売日に六面も陳列し、
お店を移っても絲山作品を平積みにすることから
仕事を始めるという気合の入れよう。

上村さん曰く、
(絲山さんは)「男も女のフラットに書ける小説家。もの凄く強くて、ものすごく弱い人物たちを描ける人。」
とのこと。

これの箇所を読んだわたしは
「なるほどー。そう言われればそうかもしれない。」と納得する。
しかし…やっぱり自分自身が魅せられている
「絲山作品の魅力」を具体的に表すにはものたりない。

でも!
上村さんのこの一文にはびしっとばっちり共感してしまった
絲山さんの作品の全ては「面白い」とか「泣ける」とかそういうことではなくてちゃんと自分の心が揺れるのがわかるのです。


心が揺れる。



それだっ!!!!! 
こんなにぴったりくる言葉があるだろうか。

絲山作品は心が揺れる。

いとやまさくひんはこころがゆれる。

イトヤマサクヒンハコココロガユレル。


そう。
絲山作品を読むとわたしの心は揺れるのだっ!!! 
わたしが絲山作品に魅かれる理由はただひとつ、
心が揺れるから、だったのだっ!!!

と。
「何を興奮しているのか」と冷ややかな目を向けられそうだけれど、
それくらいこの「心が揺れる」という表現はぴったりハマる。

あぁ、自分の想いを表現できるひとってすごいなぁ。
と解説という思わぬところで感動してしまう。

ところで。
絲山作品には絲山Aと絲山Bがあるらしい。

芥川賞を受賞した『沖で待つ』は絲山Aらしいのだけれど、
絲山Bに挙がるのはどの作品だろう。

にわかファンのわたしにはその違いが見出せない。
今のところ、絲山作品にはある種の一貫性を感じてしまっているのだから。




『イッツ・オンリー・トーク』収録作品
・イッツ・オンリー・トーク
・第七障害

2014年07月26日| コメント:0トラックバック:0Edit
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