#248 西加奈子『しずく』|読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~

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読んだ本の感想をまとめています。
購入文庫派なので鮮度は重要視しません。
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ブログタイトル、過去のものに変更しました。

#248 西加奈子『しずく』

しずく
著 者:西加奈子
出版社:光文社文庫
初 版:2010年01月20日




内容(裏表紙より引用):
恋人の娘を一日預かることになった私は、実は子供が嫌いだ。作り笑顔とご機嫌取りに汗だくになっても、ぎくしゃくするばかり…。ふたりのやり取りを、可笑しく、そして切なさをこめて描く「木蓮」。恋人同士が一緒に暮らしたことから出会った二匹の雌猫。彼女たちの喧嘩だらけの日々、そして別れを綴る表題作。ほか、日だまりのように温かい「女ふたり」の六つの物語。


所感:
ハジメマシテの作家さん。
お名前はよく耳にしていたのだけれど、
なんだかいまいち惹かれなかったのだけれど、
新聞の広告欄で見た本書が気になって手を伸ばしてみた。

裏表紙にあるとおり、
本書には「女ふたり」の物語が六篇収められている。

ランドセル
中学卒業以来十何年が経って久々に再会した幼なじみの女性ふたりのロス紀行。

灰皿
ある一軒家の貸主である老婦人と借主である
『私がう○こを食べるまで』でデビューした27歳の女性小説家の日々。
(個人的判断で「○」をひとつ置き換えました。)

木蓮
突然預かることになった恋人の子ども(小学生女子)と三十路女の或る一日。


男関係で会社を辞めざるをえなくなった女と、
その女が訪れた島で出会った女の数日間。

しずく
恋人同士の同棲で同居しなければならなくなった二匹の雌猫の毎日。

シャワーキャップ
いつまでも「可愛らしい」母と、
その母に苛立ちながらも羨ましくもある「可愛げのない」娘の
久々同居の数日間。


どの短篇も他愛のない日常が描かれている。
とびきり悲しくなることもなければ
これでもかってほどドラマチックなこともなく
淡々と描かれている、
ただそれだけの短編集だ。

でも…なんだかなぁ。
共感してしまうところが多かった。

微妙な違いなのだけれど、
共感「した」でも「する」でもなく「してしまう」というのが一番しっくりくる。


私たちは、いつも間にか女の子という時期を終え、初めての恋をしたり誰かを裏切ったり、そしていつしか大人になって、大人になったということに気づかないまま時はすぎ、また恋をして、何かに気づいたり、知らないふりをしたり、好きだったはずの男を勘定に入れなかったり、手に入れたものを、あっさりと手放したりする。(『ランドセル』)


「子供には分からない」なんてこと、大人しか思っていない。子供は、大人が思っている以上に大人で、そして、大人が思っている以上に幼く、弱いのだ。(『木蓮』)


皆は私のことを「田畑さんは本当にサバサバしてるね」などと言い、そう思われていることを痛いほど分かっていた私は、その役目をきちんとこなしていた。――略――でも私は、皆から見られている「私」に、あまりにも忠実だった。太陽が乾かした髪のように、さらさらとして、そして強い女だという「自分」を変えてしまうことよりも、守ることの方が簡単だったのだ。(『影』)


少しばかり悲しいことや、辛いことがあっても、それを我慢して「のんちゃんは、賢いね」という言葉をもらえる。それこそが自分のアイデンティティであると、思っていた。

――略――ただ、彼女のように、考える前に口をついて出る、というな、体の真実が欲しかった。「あなたは私のものよ」「それだって私のものにしたいわ」という、女の持つ透明なエゴを、身につけたかった――略――(『シャワーキャップ』)


ほらね、けっこうなエゴの応酬(笑)。
だけど不思議なことに
各短編の雰囲気は驚くほどさらっとしている。

時に一部の女性作家の作品にはジメジメとした、
なんともいえない「ぬらり」とした雰囲気が付きまとう作品が
多くあるように感じて最近はめったに読まないわたしだけれど、
本書に登場する女たちが抱えるエゴや嫉妬は
陰湿ではなく淡々と読み進めることができた。

もう数冊、著者の作品をよんでみようかな。
と思う反面、
まぁ「また今度気が向いたら」でいいかというわたしがいる。



『しずく』収録作品
・ランドセル
・灰皿
・木蓮
・影
・しずく
・シャワーキャップ
2014年09月30日| コメント:0トラックバック:0Edit
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