#267 高田崇史『QED龍馬暗殺 』|読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~

読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~

読んだ本の感想をまとめています。
購入文庫派なので鮮度は重要視しません。
ジャンルはほぼミステリーです。
コメント・TBはお気軽にどうぞ。いやむしろ、喜びます。
ブログタイトル、過去のものに変更しました。

#267 高田崇史『QED龍馬暗殺 』

QED 龍馬暗殺
高田崇史
出版社:講談社文庫
初 版:2007年03月15日




内容(裏表紙より引用):
高知の山深く、平家の落人伝説が残る蝶ヶ谷村。土砂崩れで密室と化した村の一夜に起こる殺人と自殺。大学の後輩全家美鳥を訪ねてきた桑原崇と奈々たちも事件に巻き込まれるが、その最中、維新の英雄・坂本龍馬暗殺の黒幕を明かす手紙の存在を知る。因習に満ちた山村と幕末の京都を結ぶ謎に挑む崇の推理は―。


所感:
「この世の中で、寺社巡りと墓参りほど我々に清々しいきぶんをもたらしてくれるものは、他にないね」(『QED六歌仙の暗号』より)と宣(のたま)う奇人薬剤師タタルこと桑原崇が歴史または伝説上の謎の解明に挑むQED(=証明終わり)シリーズの第7弾。

坂本龍馬をご存知だろうか。
「知らない」って人を探すのに苦労するくらい、
彼の存在は有名だろう。
そして彼が京都で暗殺されて
短い生涯を閉じたことも多くの人にとって聞き慣れた話である。

それでは、龍馬暗殺の犯人は誰かご存知だろうか。

「知っている!」と思ったそこのアナタ!
天才かもしれませんっ!! 

だって、龍馬暗殺犯の正体はまだ解明されていないのだもの。

現代のところ龍馬殺害の容疑者(黒幕)として挙げられているのは次の4者。
①新撰組 
②紀州藩 
③土佐藩 
④薩摩藩

理由は省くけれど、
この4者のうち誰かが龍馬を殺したのだろうと言われているのだが、
それが誰だったのか未だ特定はなされていない。


しかし今回はついにタタルが、真相を解明してしまったっ!!! 

といっても、作中内での
「現実の事件」=フィクションを絡めた検証+証明なので、
実世界においてはこのタタル説は通用しない。

だけれどもだけれども。
そんなことは置いおいて、
幕末の血生臭い歴史をタタルと共に追いかけるのはなかなか楽しい。
たとえ「現実の事件」が「うーん…」と思うものであったとしても!

しかし構成に関して一点言わせてもらいたいことがある。
本作ではストーリーの進行役である奈々の妹・沙織が登場するのだけれど、
彼女の登場に意義が見いだせない。

「龍馬好き」ということで沙織は奈々の高知行きに同行したのだが、
沙織の知識とタタルの(奈々に対する)講義が入れ替り進行して、
どうにも読書のリズムが乱されてしまう。

出来ることなら沙織ちゃん、あんまり出てきてほしくないなぁ…
なんて。
タタル講義の聴衆としてではなかったら、
どんだけ出てもらっても気にならないのだけれど。

このシリーズの楽しみ方は
タタルの蘊蓄が第一であることはもちろんなのだけれど、
奈々のちょっとした疑問や突っ込みが実は楽しみだったりする。

『ベイカー街の問題』では
「天気予報の降水確率の意義と意味がわからない」という
奈々の意見に賛成したのだけれど、
本作では新撰組に対する奈々の考察に、
「そうそう、わたしもそう思ってたのっ!!」となってしまった。

その奈々の新撰組対する考察とは…
古い体制を守るためだけに結成されて、しかも問答無用で多くの志士たちを斬り捨てにしてきた組織。
そして結果的に、徳川幕府――いや、旧体制に殉じてしまった殺人集団。普通に考えればもっときらわれてもいいはずだ。なのに何故かいつまでも人気がある。それはどうしてだろう?

これ、わたしもずっと思っていた。
その存在はまるで秘密警察や
旧ソ連のKGBのよう。
血生臭く殺人集団であることは確かなのに、
なぜにこんなに人々を魅了するのだろう。

そして盗まれた自分の刀が暗殺に使われたと知った23歳の武士が
恥辱を受けたと感じて自決したというエピソードを聞いた奈々はこう思う。
どうしてこんなことで死ななくてはならないんだろう? 命を掛ける場所が違うのではないか。

これにも激しく同意する。

そして最も面白かった(=興味深い、の意)奈々の意見は、
幕末~明治初頭にかけて横行した暗殺に対して
「暗殺の見本市だ。」とした上で、
現代のように、無駄な言論が横行している時代も情けないけれど、この時代のように暴力に訴えないだけでも、まだ少しはマシになったのか。問答無用の命のやり取りの代わりに、お金とディベートがその代償となっているわけだ。考えようによっては、着実に前進しているのかも知れない。多少は、浄化されつつあるのかも知れない。

ここまでずっとタタルの蘊蓄を聞く(読む)ことにばかり
意識が向かっていたけれど、
奈々の存在は読者にとって、
実はとても大きいものだったのかもしれない、と思い至る。

奈々がこうやって冷静に自分の意見を持ち、
史実に傾倒していかないからこそ、
わたしはこうやってシリーズを続けざまに読めているのかもしれない。

奈々ちゃんに感謝しつつ、次の巻を読もうと思う。



2014年11月01日| コメント:0トラックバック:0Edit
<スポンサードリンク>



コメントする

名前
URL
 
  絵文字
 
 

インフォメーション2

  • テスト1
  • テスト2
  • テスト3

インフォメーション3

  1. テスト1
  2. テスト2
  3. テスト3
Copyright © 読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~ All Rights Reserved.
当サイトのテキストや画像等すべての転載転用・商用販売を固く禁じます