#270 高田崇史『QEDventus熊野の残照 』|読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~

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#270 高田崇史『QEDventus熊野の残照 』

QED ventus 熊野の残照
著者:高田崇史
出版社:講談社文庫
初 版:2008年10月15日




内容(裏表紙より引用):
人には言えないある理由から、故郷・熊野を捨てた26歳の薬剤師・神山禮子。何かに衝き動かされるように参加した熊野旅行で、彼女は…。後鳥羽上皇たちは、なぜ苦行の熊野詣でを繰り返したのか?牛王宝印にかけられた呪と、八咫烏の正体とは?崇が神話の本質を暴くとき、禮子の真実が溶け出していく。


所 感:
QED―ラテン語のQuod Erat Demonstrandumの略で、
英語で言えば = which was to be demonstrated or provedってところだったはず。
英和辞書には「証明されるべきであった(ところの)」と載っている。
そして本作では「証明終わり」と解される。

本書は、QEDシリーズのひとつ(10作目)である。
著者のデビュー作にしてシリーズ第一弾である
『QED 百人一首の呪』を数年前に読んで以来、
高田作品とはご無沙汰していたのだけれど、
久々に読んでみたくなった。

で、書店でシリーズを眺めてみて思わず取ったのが本作。

なぜ本作か? それは、熊野が舞台だから。

数年前に熊野古道として世界遺産に登録された
和歌山県の南端部に位置する熊野地方には、
那智三山と呼ばれる熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社がある。

133mの落差を誇る日本一の直瀑・那智の滝を御神体に祀る飛龍神社も、
熊野の観光名所のひとつだ。

わたしは熊野出身ではないけれど、
勝浦(那智大社がある町)あたりを、
だいたい年に一度のペースで訪れる。

訪れたことのある場所も本書には登場するだろう.
考えただけでわくわくして、
迷わず本書を手に取ってしまった。

そして感想はやはり…面白いっ!!!

Wikipediaによると著者の作風は、
今まで、テレビなどで放送されているような「歴史の謎」ではなく、当たり前と思い込んでいるものや謎だとも思わないことを敢えて「謎」としていて、人々の常識を覆す見解を作者の鋭い歴史観や古人の理念を元に理論を一から構築していく論理性がうかがえる、歴史小説としては斬新な作品となっている。
とあるのだが、全くもってその通り。

古より続く熊野詣。
神社に祀られる神々に秘められた謎。
危険な地形に立つ神社。

何故人々は熊野詣でを続けたのか。
神話や歴史に隠された熊野を訪れるだけでは
疑問に思うことなど無い小さな謎を、
桑原崇という奇人が自ら議題にあげ、検証し、解明し、証明する。

本書には、数え切れないほどの神が登場する。
歴史上の有名な人物もこれでもかっていうほど登場し、
桑原の口から語られる謎とその検証がとても興味深い。
数年前に読んだときにはそこまで楽しい!
とは思わなかったのだけれど、
数年を経た今読んでみると、とてつもなく楽しい。

シリーズを通しての主人公は先に挙げた桑原崇という名の薬剤師。
仲間内ではタタルと呼ばれている。
ストーリーの進行役は棚旗奈々という名のタタルの後輩で薬剤師。

ちなみにタタルの趣味は「寺社巡り」と「墓参り」。
学生時代は「オカルト同好会」の会長を務めており、
そこから、名前の「崇(たかし)」に「祟る」をかけて「タタル」と呼ばれている。
奈々曰く、「タタルさんは奇人」らしい。

先にも書いたがこのシリーズは奈々目線で展開していくのだが、
本書では神山禮子という女性視点でストーリーが進行する。

ストーリー導入部分は裏表紙に書いてある通りなので割愛するが、
禮子が家出同然に熊野を捨てたのにはある理由がある。
それはとても哀しく恐ろしい…事件。
しかしその事件にはまたある事情が隠されていて、
今まで禮子には見えなかった真実がラストのラストで解明される。

今回の旅行中は誰も殺されないし亡くならないのだけれど、
ストーリー内に登場する回顧録として、
父親に対する殺人劇が告白される。

そしてその告白(または独白)は
禮子らの熊野旅行の合間に計四回組み込まれている。

しかし!!! 
その独白劇にも、読者を欺くあるトリックが仕掛けられていて、
えっ?となってしまった。

あぁ、そういうことか!
とすぐに合点がいったのだけれど
なんとも小賢しいトリックで…
単純なんだけれど、すっかり騙されてしまった。

シリーズをすべて読み終わった今振り返っても
本書はシリーズ内で最も印象深い作品だ。
これを手に取らなかったらその後このシリーズを読破することもなかったし。





2014年11月04日| コメント:0トラックバック:0Edit
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