#274 高田崇史『QEDflumen九段坂の春』|読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~

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#274 高田崇史『QEDflumen九段坂の春』

QED flumen 九段坂の春
著者:高田崇史
出版社:講談社ノベルズ
初 版:2007年08月06日




内容(裏表紙より引用):
千鳥ヶ淵の桜の下、花弁を握り締めて男が死んだ―。中学生の桑原崇は、聡明な女教師・五十嵐弥生に思いを寄せるが、ほろ苦い思い出を残して彼女は消え、崇の胸には一つの疑問が残った。それぞれの青春を過ごしていた、棚旗奈々や御名形史紋の周囲でも起こる怪事件。すべての糸が、一本に美しくつながるQED初の連作短編集。


所感:
「この世の中で、寺社巡りと墓参りほど我々に清々しいきぶんをもたらしてくれるものは、他にないね」
(『QED六歌仙の暗号』より)と宣(のたま)う奇人薬剤師タタルこと桑原崇が歴史または伝説上の謎の解明に挑むQED(=証明終わり)シリーズの第14弾。

しかし今回は趣がちと違う。
タイトルにある「flumen」とはラテン語で流れ、もしくは川の意。
既にある「ventus」は風を表すので
にある「ventus」とはまた違った趣向をこらすつもりのようだ。

加えて本書はシリーズ初の短編集(しかも連作)。
(今より)若かりし頃のタタルに奈々、小松崎に御名形史紋の
「過去」が垣間見られる上、
主要キャストの他にも岩築刑事や海妖房など
脇を固めるメンバーも登場するなど、
QEDファンとしてはとても嬉しい作りになっている。

しかーし!
これが笑ってしまうくらいのニアミス的リンクっぷり。
途中、苦笑してしまう箇所がいくつもあった。
まぁ、それもこれも全部含めて好きなのだけれど。

表題作の『九段坂の春』では
まだ中学生のタタルが
歴史や和歌に詳しい女性教師・五十嵐弥生相手に
耳たぶまで赤くなる様が描かれていて、
普段では見られないタタルの狼狽ぶりが楽しい。

どうやらこの五十嵐弥生。
タタルの人格形成(?)に大きな影響を与えているらしく、
この頃のタタルは万葉集掲載の和歌を全て調べたという
弥生に対して呆れることができるくらいまだ正常(?)だったようだ。

そして二人は別れ際にこんなやり取りをする――


「これからたくさん勉強して、いっぱい恋をして」
「……きっと誰も好きにならないような気がします」
「バカなことを言わないで」
「本気です」
「そんな顔をしないで。そのうち必ずきみの心を動かすような女性が現れる。縁というのは人知を超えているからね。例えば……」
(略)
「今、あそこを歩いて行く女の子がそうかも知れない。あの可愛い子」
窓の外には、まだ中学生くらいの可愛い女の子が、小学生くらいの妹の手を引いて行く姿が見えた。



『北鎌倉の夏』では、高校一年生の奈々が
初めてできたボーイフレンド(と言っていいのかな)にこんなことを言われる――

「将来、きみを奥さんにする人は大変だろうなあ」

そして続ける――

「前々から思っていたんだけれど、きみはどんな小さな嘘でも、あっさり見破ってしまうね、しかもほとんど無意識のうちに。だから君の相手は、そこらへんの普通の男じゃ無理だろうな、きっと」



ストーリーの主軸とは少し離れたところで交わされる会話がとてつもなく楽しい。

本書ではタタルの中学時代の唯一といっていいほどの
友人・鴨志田翔一が登場し小松崎と接触するのだが、
この鴨志田くんはどうやら
カンナシリーズの主役である鴨志田甲斐の兄のようだ。

QEDとカンナ。
今後どのようにリンクしていくのか、それもまた楽しみのひとつである。


『九段坂の春』収録作品
・九段坂の春
・北鎌倉の夏
・浅草寺の秋
・那智瀧の冬






2014年11月08日| コメント:0トラックバック:0Edit
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