11文字の殺人
著 者:東野圭吾
出版社:光文社文庫
発行日:1990年12月20日
内容(裏表紙より引用): 「気が小さいのさ」あたしが覚えている彼の最後の言葉だ。あたしの恋人が殺された。彼は最近「狙われている」と怯えていた。そして、彼の遺品の中から、大切な資料が盗まれた。女流推理作家のあたしは、編集者の冬子とともに真相を追う。しかし彼を接点に、次々と人が殺されて…。サスペンス溢れる本格推理力作。
所感: 東野作品の初期の頃に多くみられる火サス的サスペンス。
1990年に文庫化された本書も例に漏れず、
いかにも「火サス」な展開だった。
よって、「火サス」」的推理により
ものの数ページで犯人には目星はついた。
そしてその推理は見事当たっていた。
しかし「火サス」的サスペンスは犯人を当てだけが楽しみではない。
恋人を殺されたミステリ作家の「あたし」。
彼の遺品から資料を盗まれたこをきっかけに、
「あたし」は事件の真相を追究する決意をする。
しかし彼の事件を介して知り合った人たちが次々と殺されていき、
ついには「あたし」まで…。
偏見かもしれないけれど、
東野作品に登場する女性は大概、魅力的とは程遠い。
特に「あたし」と自称する主人公に共感や好感をもてた試しがない。
そして本書に登場する女性たちもその例にもれず、好みではない。
しかしそれでもドキドキハラハラのスリルとサスペンスが楽しくて、
ほぼ一気読みしてしまった。
犯人は勘でわかっても、
その奥にもうひとつ、「真相」が隠されていたのも楽しかった。
ただ…タイトルにまでした「11文字」という点が、
あまりに無理やりすぎて(意味が薄すぎて)、
がっかりしてしまったが、
こういうところもまた東野作品だなぁ…と、
ひとり納得してみた(誉めてはいない)。