動機、そして沈黙
著 者:西澤保彦
出版社:中公文庫
発行日:2012年11月25日
内容(Bookデータベースより引用): 時効まで二時間となった猟奇犯罪「平成の切り裂きジャック」事件を、ベテラン刑事が回想する。妻と戯れに推論を重ねるうち、恐ろしい仮説が立ち上がってきて…。表題作ほか、妄執、エロス、フェティシズムに爛れた人間の内面を、精緻なロジックでさらけだす全六作品。
所感: ノンシリーズの短編集。
1995年デビューの著者が
ノンシリーズの短編集を編むのはこれが2作目らしい。
タック&タカチシリーズ以外で短編集…。
確かにあまりピンとこないかも。
本書に収められているのは6篇の短篇。
(内、1篇(表題作)は中篇とも言えるボリュームだけれども。)
そのどれもが山椒のようにぴりりとしていて、
やはり著者はお上手なのだなぁ…と感心してしまう。
が、物足りなさを感じなくもない(笑)。
本書を読んで分かったのは、
わたしが著者に求めているのは
『殺意の集う夜』のようなハチャメチャ感。
つっこみどころが多少あれど、
ありえない!!面白い!!マジで?!!
あ、でもありえるかも!!!
といった強引でありながらも
どうにかちゃんと着地してしまう
アクロバティックなあの作風なのだ。
収録作品はどれも甲乙つけがたく、
まとまりも良いし、文句はない。
特に『迷い込んだ死神』などは
ラストが哀れで笑えて、
テイストとしてはもろわたしの好みだ。
だけど、わたしが読みたい西澤作品は
これじゃなかったんだな。
次からは短篇は外してよし、としよう。
こうやって人間は学習していくのです。
(少なくともそのはず!)
『動機、そして沈黙』収録作品 ・ぼくが彼女にしたこと
・迷い込んだ死神
・未開封
・死に損
・九のつく歳
・動機、そして沈黙