#291 今邑彩『鋏の記憶』|読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~

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#291 今邑彩『鋏の記憶』

鋏の記憶
著 者:今邑彩
出版社:中公文庫
発行日:2012年09月25日

 


内容(Bookデータベースより引用):
物に触れると所有者の記憶を読み取ることができる「サイコメトリー」能力を持った、女子高生の桐生紫。その力を生かして、周囲で起こった四つの怪事件の捜査を手助けすることに。殺人、失踪、家族の秘密…「物」だけが真実を知っている!傑作ミステリー。


所感:
またまた復刊本。
このところ、毎月のように復刊されている今邑作品。
静かなブームは続いている…??
ファンとしては嬉しいことこの上なし。

本作が世に出たのは2001年6月のこと。
角川ホラー文庫でも刊行だった。

1990年代終盤から2000年代初めにかけて
刊行された今邑作品の多くはずっと絶版になっていた。
ほんの10年前は、今邑作品の評価はさほど高くなかったのだろう。

本書もずっと読みたくて、
でも諦めて、
もしかしたら…と淡い期待を抱いていた一冊。

それがここにきての復刊ブーム。
何があった??
気にならなくもないが、まぁ、いいや。

もちろん復刊早々、読んでみた。
(しかも予約購入までして)


両親を事故で失くし、
警視庁勤務の親戚の元で暮らす女子高生、紫(ゆかり)。
彼女には特殊な能力がある。
モノに触れることでそのモノに触った者の記憶を
読みとることができるという。

紫はその特殊能力を生かし、
周囲で起こった事件を解決へと導く…。


サイコメトリー(PSYCOMETRY)
残留物感知能力。
物に触っただけで、その物を所有していた人物のことや、
その人物の秘めた感情や体験したことなどを、
感知できる超自然的な能力のこと。
(作品内より引用)


超能力は単純にすごい、と思う。
しかし本作の主人公、紫の持つサイコメトリーは
ただただ喜ばしい能力、とは言えない。

彼女は物に触れただけで、
その物に宿った感情や記憶を読みとってしまう。
ふだんわたしたちは、
全ての感情を周囲に対してオープンにしているわけではない。
むしろ、心の裡にそっとしまっておく感情のほうが多いだろう。

彼女は望む、望まないにかかわらず、
そんな秘めた感情までをも読みとってしまう。
それは時に、とても苦しい体験でもある。
それが故、紫は苦悩する。

本作を読んでいて
『名探偵に薔薇を』に登場する
名探偵、瀬川みゆきが思い起こされた。
彼女もまた、名探偵であるが故の苦悩を抱えていた。

見たくないことまで見えてしまうということは、
とても苦しいことなのだ。

本書のジャンルとしては、
ホラーというよりもミステリ。

事件が起こり、紫が関係者のモノに触って感じることで、
事件解決のヒントを掘り起こす。

「超能力で事件を解決なんて!」と、
純粋なミステリとしては無粋なのかもしれない。
しかし本作の焦点はおそらく、
「秘めた感情」の部分にある。

その感情の持ち主は敢えて秘めているのだから、
その感情が表にでる機会はほとんどない。
その隠された感情にスポットを当てるためのモチーフが、
サイコメトリーという能力なのである。

とわかったようなことを長ったらしく書いているが、
ひとことでまとめるとすごく簡単だ。


面白い!!!


腹を抱えて笑うような面白さではない。
事件の真相は火サス的推理でピンとくるし、
だいたいその通りにことも運ぶ。

だけれど…
後に残るなんともいえない苦さと、
人間の苦悩が描かれていて、
とても興味深い一冊だった。

復刊してくれて本当によかった。
今邑彩、サイコー!!!




『鋏の記憶』収録作品
・三時十分の死
・鋏の記憶
・弁当箱は知っている
・猫の恩返し

2014年11月26日| コメント:0トラックバック:0Edit
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