#306 連城三紀彦『白光』|読書NOTE~読んだ本の感想・レビュー~

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#306 連城三紀彦『白光』

白光
著者:連城三紀彦
出版社:光文社文庫
初 版:1992年12月20日




内容(裏表紙より引用):
ごく普通のありきたりな家庭。夫がいて娘がいて、いたって平凡な日常―のはずだった。しかし、ある暑い夏の日、まだ幼い姪が自宅で何者かに殺害され庭に埋められてしまう。この殺人事件をきっかけに、次々に明らかになっていく家族の崩壊、衝撃の事実。殺害動機は家族全員に存在していた。真犯人はいったい誰なのか?連城ミステリーの最高傑作がここに。


所感:
ごくありきたりな一家の庭で発見された幼女の遺体。
これだけ取り上げれば先日読んだ『赤い指』に通じるものを感じるが
『赤い指』と本作は全く非なるものである。

『赤い指』にて遺体で見つかった少女は
その家の人間と血縁関係はなく、
ストーリーの焦点は阿呆息子が犯した殺人を隠ぺいすることにある。

しかし本作では殺害された少女は彼女が遺体で発見された家の血縁者。
そしてその家では少女の殺害の隠蔽は行われず、
4歳で殺害された女の子に対する殺害動機及び
そこから浮かび上がる複雑な人間関係と
心理に焦点があてられている。

作品を読み進めていくうちにわかってくるのだが驚くことに、
この一家の誰もが女の子を殺害する動機を持っている。

女の子の母親、父親、母親の姉、その姉の夫、夫の父、その姉夫婦の娘…
その誰もにたった4歳の女の子を殺害する動機があり、
間接的または直接関に機会があった。

果たして幼女殺害の真犯人は誰なのか…。
その真犯人が気になるところではあるのだが、
それよりも何よりも注目せざるを得ないのは、
これだけの人間が4歳の女の子に対して
殺害動機をもっていることそのものだ。

たった4歳の女の子に対してこれだけの数の人間が
「殺したい」、あるいは「死ねばいいのに」と思うことがあるのだろうか。

当然の疑問だ。

端的に言って、この殺された女の子自身は何も悪くなく、何の罪もない。
しかし周りの人間は彼女を「殺したい」または彼女に「死んでほしい」と思っている。

その殺害動機の背景にはこの家に隠された複雑な事情が絡んでいるのだが、
詳しく書くとネタばれになるので書かないでおく。

ストーリーは、この一家全員による「語り部リレー」により進んでいく。
それぞれが見えている部分、推測する部分が少しずつ重なって
最後の最後にはすべての真実が読者の前に現れるのだけれど、
それまでの過程がなんともいえないほど息苦しい。

一人の幼女が殺害されたのだから重苦しくて当たり前なのだが、
語り部たちの内面心理が描写されることにより、
一層重苦しさが増していく。

残念ながら最後まで辿り着いても「救い」は何もなく、
一筋の光さえも見えない。

そしてなぜ少女が死なねばならなかったのかさえも…
明かされはするけれど、
わたしにはとうてい理解できない。

しかし驚くことに読後感は悪くはない。
決して良くもないのだけれど、
陰鬱な事件の割には後を引く心地悪さがほとんどない。

殺された幼女に対して真犯人もそれ以外の人物も、
誰もが後悔を感じ詫びるべきで
実際に作中では誰もが後悔や懺悔をしていて、
その心理描写がこの作品の核ではあろうことはわかるのだけれど、
結局のところすべての元凶はたった一人の人物にあるのではないか、
と思うのはわたしだけだろうか。




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2014年12月11日| コメント:0トラックバック:0Edit
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